メンタルきのこ

メタルやきのこや投資に料理、人生観、こころの健康奮闘記

学生時代の思い出 寿司屋のバイト フィナーレ 食い逃げ

こんばんは、メンタルきのこです🍄

 

出来事は起こるべくして最適なタイミングで起こる。その時はつらく苦しくとも後に振り返って見た際に、あの時のあの出来事、経験が現在の自分を支える大きな糧となっている、という話を聞きます。無駄な経験などない、全てに意味がある。

なるほど、実際そうだとして、未だに自分の中で消化(昇華)しきれていない経験があります。

それは・・・件の寿司屋のバイトで起こった出来事です。

 

結果から申しますと食い逃げをされました。

 

人生の中で食い逃げをされた経験をお持ちの方はどのぐらい居らっしゃいますか?そしてその経験をお持ち方はどのように、どんな形で今の生活、人生に活かされていますか?というアンケートを広く世の人に問いたい気持ちです。いや本当に。

 

あれは夜の7時半頃、今でも覚えています。ふらっと独りで入ってきた、色褪せたジャンパーにヨレたグレーのスラックスという出で立ちの冴えない風態のオッサンで、当時の自分の父親よりも歳上に見受けられました。大将は大切なお客さんとしていつもどおりのへい!いらっしゃい!という大きな挨拶で出迎えたところ、そのオッサンはスッとカウンターに座りました。その頃合いを見計らい、私はお茶を出します。

カウンターだから直接大将に注文だなと思いオッサンから離れ、私は小上がり席の食膳を下げていたところ、まあ頼むわ頼むわ。大トロ、ウニ、アワビ、ぼたんえび、ズワイガニ、ヒラメのえんがわなどの高級食材をはじめ、挙句の果てには堂々たるオーラを放つ筆跡で張り出された『時価』であるイクラ丼にまで手を出す始末。

ちなみにその前に若にイクラ丼の時価ってどのぐらい?と聞いたら、あ?3千円だ、という素っ気ない返事。え?時化とか仕入れの都合で値段変わったりするものじゃないの?と聞くと、そりゃお前、そんな仕組みにしたらお客さんが頼みずれーだろ、だから3千円なんだよ!という妙に説得力のある答え。これは寿司屋あるあるなのでしょうかね?

話を戻します。散々高級食材を頼みまくったオッサン、大将お愛想、の言葉を聞きパートのおばちゃんが会計したところ、確か3万円程の請求だったと思います。そしたらそのオッサン、上着とズボンをパンパン叩く小芝居を挟み、あー車に財布忘れてきたわー・・・という胡散臭さ全開の言い訳。

そこでおい怪しいぞ、ちょっと待て!と言うべきであろう若がその小芝居を本気にしたのか、じゃあお前、一緒に車まで行ってお金払ってもらえ、ほら行って来い!という強烈な無茶振り。

えーマジかよ・・・と思いつつもまぁ仕事だし店抜けれるしラッキーと思いそのオッサンと店を出て歩き始めました。そしたらまあ、あちこちグネグネと変に回り道をして30分以上は歩き回るオッサン。そのうち車に到着し、オッサンは車に乗り込みました。さぁてやっと集金だな、と思ったのも束の間、オッサンはスーっと窓を開け

『悪いな、金無いんだわ』

あ?何言ってんの?

『だからな、金持って無いんだわ。じゃあな』

と捨て台詞を残し、物凄いスピードで走り去るオッサン。もうね、ナンバープレートとか見る余裕はありませんでしたが、かろうじて見分けた車種は白のボロい旧式ローレルだったような気がします。しばらくその場で呆然と立ち尽くした後に我に返り、取り急ぎ寿司屋に戻りました。その途中、やべえ食い逃げされたぞ・・・何て言う?俺が払うの?というかバイト代から引かれる?つーか時給400円だからタダ働き確定か・・・?と物凄い不安な気持ちで店に着いたところ、叱責されるどころかおぉ!無事だったか!と意外な反応。曰く帰って来ないからボコボコにされたんじゃないかとか、最悪の事態になってるんじゃないかと心配していたんだ、本当に無事で良かった!と。

食い逃げ・・・と言いかけると若はそんなのお前が気にすんな、迂闊に行かせた俺が悪い、本当に済まなかったと深く謝罪されました。普段は冷静沈着なパートのおばちゃんも涙ぐんでいました。なんかみんな良い人達だな・・・と思うのと同時に、この時になって少し落ち着いたら言いようのない恐怖感に襲われました。

 

あのオッサンも生きていれば今頃は後期高齢者のはず。元気にしてるだろうかなあ。

 

この経験が今の自分に活かされているとは思えないのですが、食券システムにいたく感じ入るのはそんな経験があるからかもしれません。

 

以上、長くなりました。

食い逃げされて人生が変わったという方、ぜひご一報のうえ、どのように活かされているのか、その体験を共有させていただければ幸いに存じます。ご連絡をお待ちしております。

それでは。